Plusone No.624
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労働者代表の選出は、意外と大事用する権限を有する」などが該当し、これらの権限がない場合、管理監督者として認められない可能性が高まります。②「勤務態様」についての判断要素遅刻早退した場合には人事考課が悪くなる、欠勤者が生じたときには自らが勤務に従事しなければならないなど、「勤務の自由性」がない場合には、管理監督者として認められない可能性が高まります。③「賃金等の待遇」についての判断要素賃金等の待遇面で、基本給や役職手当などが高額であるなど、支払われた賃金の総額と時間単価によって判断されます。つまり、時間換算したときに一般の労働者と相違がない(あるいは、低額になる)場合は管理監督者として認められない可能性が高まります。これらの要素をすべて満たす必要性を考慮したとき、なかなか該当する労働者はいないのが現状ではないかと考えます。また、一般的に③に意識が集中しやすいですが、「管理監督者」ですから、「権限と裁量」が与えられているのかが重要な要素であると考えられます。よって、筆者の感覚でいいますと、労働者代表になることができる役職名は、一般的には係長職以下ではないかと考えます。ただし、明らかに上の①~③の要素が認められない課長職や部長職であれば労働者代表になることは可能です。実際に、筆者の経験では「工場長」や「課長」に労働者代表として署名をいただき、監督署に提出したことがあります。大事なポイントは、「民主的な手続きを経て選任」されていること、そして労働者の方々が「誰が労働者代表なのか」を把握できているかという点です。そのためにも、まずは広く労働者代表の立候補(または推薦)を募り、候補として挙げられた労働者を労働者代表として同意する方々に署名による同意を得ることで(スライド4)、同意書を保管しておくことが良いのではないかと考えます。具体的には、①公募期間 ②同意を得る期間 したことを周知する期間をそれぞれ1週間ずつ設け、公募の書類や周知の書類と合わせて同意書(A4用紙に複数名記載できるような書式を任意で作成)を書面で保③労働者代表が決定管しておくことで、民主的な手続きを経て選任したことを証明することが可能となります。次回は、視点を変えて業務上災害などが発生した場合のリスクから会社を守るという視点でお話させていただきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。 労働者代表の選出を行うことを告知し、 「立候補者(または推薦者)は○○(例:総務部○○)までご連絡ください。」と呼び掛ける。②立候補者がいた場合、立候補者等を代表者と認めるときは、署名するよう求める。③推薦者がいた場合、立候補者等を代表者と認めるときは、署名するよう求める。④ 同意者が労働者の数の過半数を超えたとき、「○○さんが労働者代表に選出されました」と周19スライド 3スライド 4知する。本号の結論就業規則については、労働者代表の意見書を添付する必要があります。また、全面的に反対する意見書であっても届出自体ができないとはなりません。しかし、36協定書などについては労働者代表との協定によって有効ですから、労働者代表が無効となれば協定書自体も無効となります。労働者代表の選出については、過半数労働者が「○○さんが良い!」「○○さんを認めます!」と意思表示を行った記録として、スライド4に記載した同意書を保管するとともに、誰が労働者代表なのかわかるように、全労働者に周知することが大切です。労働者代表過半数労働者の代表者とは使用者が指名した労働者が署名捺印した意見書を添付して 届出を行うのは、のちに「就業規則は無効」と指摘されるリ スクがあります。<労働基準法施行規則第6条の2>①労働基準法第41条2号に規定する管理監督者でないこと。② 法令に基づく協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であって、使用者の意向に基づき選出された者でないこと。具体的な選出方法は① 就業規則の意見書や、36協定などに署名捺印を行う。

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