Plusone No.624
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…気になる病気や健康について分かりやすく教えていただく「健康相談室」。第2回目は日本人の患者数が急速に増加している糖尿病。ひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると合併症を引き起こし、QOL(生活の質)を大きく低下させてしまいます。また超高齢化社会の医療経済的にも大きな負担となっています。Quality of Life糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高い状態、つまり「高血糖」が持続される病気です。日本糖尿病学会では、空腹時血糖値(朝食前の血糖値)が110mg/dL未満であれば正常値、126mg/dL以上は糖尿病としています。また、随時血糖(食後何時間であっても)が200mg/dL以上になる場合も糖尿病と診断されます。「糖尿病は自覚症状がないものの、長年続くことによってほぼ全ての臓器に悪影響を与え得る怖い病気です。最終的には失明や腎不全、心臓病などの病気につながることで生活の質を大きく低下させ、一生涯にわたってその辛さを抱え続けなければいけなくなってしまいます。逆に言えば、糖尿病が進行する前にきちんと対策をすることで、予防することができる病気でもあります」。糖尿病の原因は大きく4種類に分類されます。「過剰な自己免疫反応が要因の1型糖尿病(小児糖尿病)、主に生活習慣が要因となる2型糖尿病、遺伝性や薬の副作用等によって起こる特殊な糖尿病、そして妊娠糖尿病が挙げられます。このうち、日本人の糖尿病患者の約90%以上を占めるのが2型糖尿病と言われています」。2型糖尿病の要因は体質と生活習慣。「体質は変えることができませんが、生活習慣の改善が体質を超えて予防効果を発揮します。2型糖尿病の治療には『1に食事、2に運動。3、4なくて5に薬』という言葉があります。健康のために最も重要なのは食生活。運動は習慣化している人でも週に2、3回。対して食事は誰でも週に10回以上は摂るもので、運動よりも影響が大きいと考えられます」。食事療法や運動療法で最も大切なのは■継続できる方法を選ぶこと■なのだそう。「以前は食事療法の主流は■カロリー制限食■でしたが、近年は様々な食事法の中で■糖質制限食■が最も効果が高いと米国糖尿病学会が報告しています。カロリー制限食は制約が多く挫折しやすい一方で、ごはんの量を半分にしながら、おかずを増やすことで満足感を得られる緩やかな糖質制限食は、継続率が高く効果が期待できます。運動も同様で、以前は有酸素運動が良いとされていましたが、今では『いつやっても良い。何をやっても良い。やればやるほど良い。怪我をしない限り』という考え方を推奨しています。楽しくないと継続することができません。ストレスが血糖値の上昇に関連するという研究結果もあります。孤食ではなく、家族団らんで楽しく味わいながら食事をすることも糖尿病予防に有効な方法と言えるでしょう」 。第2回糖尿病予防に大切な生活習慣北里大学北里研究所病院(東京都港区)16健健康康相相談談室室山田悟先生生活習慣。重視すべきは生活習慣。重視すべきは継続できる食事と運動。継続できる食事と運動。

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