Plusone No.624
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和歌山県田辺市に拠点を置く「和歌山レジーナ」は同県内で唯一の女子硬式野球クラブチームとして2017年に発足しました。その経緯について森脇章夫代表は「少年野球チームに所属して頑張っている女子選手は中学校に入ると野球をする場がなくなり、プレーする機会を失ってしまいます。なんとかその受け皿になれればと思いました」と熱く語ります。現在は中学生を中心に高校生、社会人合わせて13人がメンバーとして所属しています。練習は毎週土、日曜の13時~17時と火、木曜の19時~21時に行っています。中には和歌山市から車で約1時間半かけて通ってくる中学生もいるとのこと。森脇代表自身、サラリーマン生活の合間を縫って練習に参加しており、「親御さんも含め熱心に練習に通われる姿には心を打つものがあります。彼女たちの野球に夢中になっている時に見せる笑顔が私のモチベーションになっています」と語ります。2020年初頭から日本を覆った新型コロナウイルスの感染拡大によりチームの活動は滞ってしまいました。3月以降は全く練習ができなくなり、6月以降にようやく練習を再開したものの、試合の機会はめっきり減ってしまいましたが、今年に入ってからは試合が再開されつつあります。6月に行われた関西女子硬式野球連盟の「ラッキートーナメント」では中学生主体のチームながら、高校生チームを相手に8対4、2対1で2勝し、ベスト8に進出。ベスト4をかけた試合では、優勝候補の「阪神タイガースWomen」に10対0とコールド負けを喫したものの4回まで粘るなど健闘ぶりが目立ちました。「軟式に比べ重たい硬式のボール、バットに慣れるまでは大変でしたが、どんどん成長しています。彼女たちにとっても大きな自信になったと思います」と森脇代表は振り返ります。現在は8月から11月にかけて行われる関西女子硬式野球連盟のリーグ戦「ラッキーリーグ」に向けて熱心に練習を行っています。チームの指導で心掛けているのは、監督、コーチが上から指示を出すのではなく、選手たち自身が他のチームを見たり、自分たちで調べて気づいたことをもとに何をすればよいかを考えながら練習メニューを工夫することと自主性を重んじることで、選手の伸びしろに期待しているとのことです。今年7月から8月にかけて兵庫県丹波市で開催された第25回全国高校女子硬式野球選手権大会(兵庫)は過去最多の40校が参加するなど、女子硬式野球のすそ野は着実に広がっています。ただ、女子硬式野球は関西よりも関東で盛んとのことで、和歌山県内では女子硬式野球のクラブチームは和歌山レジーナのみ。「月に何回かでも試合ができる相手が近くにあると実践経験を積むことができ、彼女たちのさらなる成長の機会にもなるのですが」とチーム数の少なさを残念がります。また、グラウンドをはじめとする練習環境もまだまだ恵まれているとは言えません。「便利なグラウンドは確保するのに競争率が高いですし、球場を使うとなると高い利用料が壁になります。安心して練習できる環境を作ってあげることができればよいのですが」と森脇代表。女子硬式野球界初のプロリーグとして注目を集めた日本女子プロ野球機構は頓挫したものの、プロ野球の阪神や西武がクラブチームを始め、女子硬式野球選手にとっての目標となるチームも出てきています。「彼女たちが夢を追いかけられるようこれからも支え続けていきたい」と森脇代表は思いを語っています。和歌山レジーナでは見学や体験入部を随時受け付けています。ティグレは社会貢献活動の一環として、毎年優れたイノベーションや社会的課題に貢献する提案に対し総額200万円の補助金を進呈しています。今回は過去の受賞者のうち、2018年の「起業・経営革新社会貢献事業」で最優秀賞を受賞した女子硬式野球チーム、和歌山レジーナを紹介します。和歌山・田辺を拠点に活動高校生チーム相手に2勝練習では自主性を重んじるチーム数の少なさ課題も 和歌山県田辺市を拠点とする女子硬式野球チーム 和歌山Regina(レジーナ)URL https://baseball-nana.com/起業・経営革新社会貢献事業 過去受賞者インタビュー12NEWS 03NEWS 04女子硬式野球に打ち込む選手の受け皿に2018年度起業・経営革新社会貢献事業最優秀賞の「和歌山レジーナ」

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