Plusone No.623
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100年前は和洋折衷  が大きなトレンドに1918年に第1次世界大戦が終結し、戦争特需に沸いた反動で景気が冷え込んだ時期でした。加えて、18年から20年にかけてスペイン風邪が流行し、さらに追い討ちをかけたのです。まさに現在の状況と瓜二つと言ってよいでしょう。その時に起きたトレンドの変化が二つあります。まず、キャッシュリッチで勢いのある大企業が資金繰りの厳しくなった企業を飲み込み、ますます強くなっていきました。一方で非常に多くの企業が創業し、新しいマーケットをつくりだしていった時代でもあるのです。当時の大不況の中で勃興したのが大正ロマンティシズムです。人々が自由な暮らしを求める中で、明治時代に入ってきた西洋文化を咀嚼して日本人らしく取り入れていこうという動きが出てきて、いわゆる和洋折衷が大きなトレンドとなりました。当時創業したのがパイロット万年筆やサ     クラクレパス、トンボ鉛筆、スケッチブック製造のマルマン、自転車部品のシマノなどです。半紙に筆で文字や絵を書いていたのが、洋紙に万年筆や鉛筆で文字や絵を書―100年前というとどのような時代だったのでしょうか。―新しいマーケットとは。経済評論家森永卓郎 氏30経済評論家の森永卓郎さんは、新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済にもたらした状況について「ちょうど100年前に置かれた日本の状況と酷似している」と説く。100年前の苦境から中小企業はどのようなチャンスを見出したのか、森永さんに聞いた。

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