Plusone No.623
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時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則を「作成・変更」したとき所轄労働基準監督署(以下、「監督署」とします)に「届出」をする義務があるとしていることです。一方で、10人未満の労働者を使用する使用者には、この監督署への届け出義務がないだけであり、作成・変更する義務がないわけではありません。これらの認識の違いから中小企業では就業規則を作成しない、または変更していないという状況が生じているものと思われます。会社のルールブックである就業規則は、労働者を一人でも雇用している場合、必須アイテムであると考えます(スライド2)また、就業規則を作成するだけでは不十分です。就業規則を作成し、または変更した内容を労働者に適用(ルールを当てはめる)するためには、その内容を「周知」しておくことが求められます(スライド3)この周知を確実に実行していなければ、就業規則はまったく意味を持ちません。「コピーして持ち出す者がいる」「他社に知られたくない」「有給休暇の規定を見せたくない」など、様々な考えから就業規則を見せない方もいらっしゃると思います。しかし、これらの理由を冷静に考えますと、「そんなに問題になるのかな?」と思います。これだけIT化が進んだ現代では、持ち出す人は持ち出しますし、福利厚生などをホームページ上で公開している企業もあります。有給休暇の取得については労基法で義務化されています。※1 絶対的明示事項とは、労働者に「必ず伝えなければならない」事項。新しく人材を採用したとき、事業主も労働者も“期待”や“やる気”に溢れているのではないでしょうか? した時点を「入口」と表現すると、この入口での実務が労働問題を防ぐポイントの1つであると考えます。まず、労働契約は「労働者が労働し、使用者が労働の対価として賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意」したときに成立し、労基法第15条1項で「使用者は労働契約締結の際、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と規定しています(スライド4) ポイントは、スライドに記載した通り、法令が求める事項(スライド5の「絶対的明示事項」※1の部分)を書面で交付することで、できれば説明した日付と説明を受けたことに対する署名捺印を受け、それを保管しておくことが重要であると考えます。なお、採用の日が仮に令和3年10月1日の場合、労働条件通知書を交付するのはその前日(9月30日)までとなります。これらの手続きを確実に行う事業所であれば、労働者も安心して働くことができるでしょうから、少なくとも会社に対する不信感等を抱くことはないものと思います。この新規採用入職時が肝心     「周知」とは、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことをいう。(平成24年8.10基発0810第2号)スライド 2就業規則とは就業規則とは、「会社のルールブック」であり、法令上「常時10人以上の労働者を使用する」場合は、作成、届出の義務があるが、10人未満であっても就業規則を作成・周知しておくことは重要である。スライド 321労働問題の傾向と予測就業規則の周知

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