コラム

不動産の名義変更にはご注意を

毎年、確定申告が終わるとほっと一安心という納税者の方も多いと思います。しかし、その後、納税者のもとに、税務署からいわゆる「お尋ね」の文書(以下、「お尋ね」)が届き、どうしたらいいのかと、ご相談受けることがあります。

 この「お尋ね」とは、税務申告の必要がありそうな納税者に対して税務署が送付する文書です。例えば、自宅を売却した場合、通常登記を行いますが、その情報は法務局より税務署へ送られます。この情報から、税務署は「売却して所得を得たのではないか」という申告の要否を、「お尋ね」により確認するのです。ただ、「お尋ね」が送付されたといって必ず申告義務があるとは限りませんので、専門家にすぐに相談し対処していただきたいと思います。

 さて、この「お尋ね」の1つに、「贈与税の申告についてのお尋ね」というものがあり、毎年相談を受けます。この相談内容は主に、贈与による不動産の名義変更を行っているケースです。そのほとんどは親族間での名義変更ですが、原則、贈与税の対象になります。「贈与」とは、民法で定められており、端的には、「当事者双方のタダであげる、もらうという契約」をいいます。この「タダで」ということに納税者の方々は安心してしまうようで、お金が動いていない、更に親族間での取引であるため、税金の心配は無用と思ってしまうようです。

 贈与税は「相続税を補完する税」と言われています。つまり、生前に親族へ財産を移すことで、相続税を逃れることを防ぐ役割を持っているのです。ですから、税率は、相続税よりも高く設定され、また、基礎控除額(税金の課せられないライン)につきましても110万円(暦年課税の場合)と相続税よりも低く設定されています。

 しかし、一方で、次世代への財産の承継が中々進まない事情もあり、承継を円滑におこなうため、贈与税にいくつかの特例が設けられています。例えば、相続時精算課税制度や配偶者控除です。といっても、これら適用には要件や適用後の注意点等、十分な検討が必要となります。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】

外国人技能実習制度と中小企業

外国人技能実習制度は、日本企業が開発途上国の外国人を受入れ、習得した技能を母国に移転することを目的とした制度です。技能実習生の数も着実に増加しており、技能実習の適正な実施と実習生の保護をはかるために技能実習法がこの秋から施行されます。また昨年11月には、監督機関の外国人技能実習機構が設立されました。

 私は社会保険労務士として雇用保険・社会保険の取得手続きに関わりますが、最近は技能実習生を受け入れるティグレの会員事業所が増えています。私も5月初め、会員企業が初めて技能実習生を受け入れるためにベトナムを訪問した際に同行しました。内定者は26歳、27歳、29歳の若者で、日本でさらに高い技能を習得・移転することで母国の発展に寄与されることを願っています。

 さて、技能実習制度の現状について見ますと、①実習生の数は約23万人で、受け入れ人数の多い業種は機械・金属、建設、食品製造の順で、機械・金属、建設が特に増加しています。②受け入れ企業の従業員規模は10人未満が50.1%、10~19人が16.0%で、受け入れ企業の約2/3が従業員数19人以下の中小企業となっています。従業員規模や業種構成からみても、技能実習制度を含む外国人労働者受け入れの課題は、まさに中小企業のテーマであると言えます。

 今後、ますます少子高齢化が加速し労働力不足が深刻となる中、労働力の確保には外国人の受け入れ対策が避けて通れなくなっています。外国人技能実習制度は少しずつ改善されてはいますが、今回の技能実習法の施行と実習機構の活動を通じて適正に機能することが期待されますし、外国人労働者を本格的に受け入れていくかどうかの議論をこれまで以上に深めていくことが必要となります。

【社会保険労務士法人ティグレ 代表社員 新里 順一】

ふるさと納税は趣旨を考えて

総務省は、平成29年4月、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」とする文章を各都道府県知事宛に通知しました。この冒頭に次のような記載があります。

 「・・・・・・・・・ふるさと納税を通じて寄せられた資金は、子育てや教育、まちづくりに活用され、地域の活性化に資するとともに、災害時における被災地への支援としても役立っています。

 一方、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っている返礼品の送付については、最近において、・・・・・・・ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されているなどの指摘がなされています。」

 現在、ふるさと納税は大人気であり、筆者も確定申告時には、ふるさと納税を行った納税者と多くお会いします。
人気の理由は、「自己負担額2,000円で各地方の名産品を手にすることができる」ということからではないでしょうか。確かのその通りです。

 しかし、ふるさと納税の趣旨は、地方で生まれ育った人が、都会へ出ていき、その結果、都会に税収が集中することを緩和しようというものです。生まれ育った地方に恩返しという意味で、都会から地方への税源移転を図ったものでしょう。

 ふるさと納税は、「納税」といっても、納税ではなく「寄付」なのです。寄付しますと税制上優遇されます。この結果、税金は安くなり、加えて返礼品を受け取りますので、「安く買い物した」という「結果」になるのです。
 ところが、現実には、納税者はふるさと納税先の自治体を、その自治体の返礼品を基準に決め、また、自治体も多くの資金を集めようと競って返礼品の質を上げている状況のようです。上記の総務省の文章でも、このような状況は、ふるさと納税の本来の趣旨に反するとして「返礼品の送付を強調してのふるさと納税の募集」を慎むよう記載しています。
 一方で、自治体の宣伝効果や地域経済への貢献という「効果」も忘れてはならないと思います。

【税理士法人ティグレパートナーズ:税理士 中村哲平】

相続税対策で過熱するアパートローン

昨今、金融機関が貸家業者に向けた個人に融資するアパートローンが過熱気味のようです。その背景の1つに相続税対策があるということです。

 ただ、物件の供給過剰により空室が増え、賃料が下がる地域も出始めたようです。返済が滞ればローンは不良債権となりかねないことから、金融庁と日銀は対応に乗り出しました。

 国税庁によると、平成27年の死亡者数に対する相続税の申告書提出に係る被相続人数(死亡者数)は、8%となり、前年より3.6%増加しています。この増加の大きな原因が、基礎控除額の引下げと思われます。
 平成27年の税制改正で、平成27年1月1日以降の相続税の申告については、基礎控除額が大幅に引き下げられ、改正前の60%となりました。基礎控除額とは、端的に言えば、相続税がかからないラインであり、相続財産額が基礎控除以内であれば税金はかかりません。
 この基礎控除の大幅な引き下げの影響で、相続税の課税対象者が増加し、相続税の相続税対策が注目されています。

 上記の記事では、更地を所有している場合の相続税対策です。
 更地にアパートを建設し、賃貸すれば、その土地の相続税評価額は下がります。なぜなら、アパートには他人が居住していますので、土地所有者は、その土地の利用を制限されるためです。

 ただ、ローンの返済に見合う家賃収入がきちんと得られれば、対策としては申し分ありませんが、中々うまくいかないようです。
 また、キャッシュが大量にある場合、そのキャッシュで不動産を購入する節税方法も考えられます。一般に、不動産はキャッシュに比べて評価額が下がります。ただ、この場合も購入した不動産を有効に活用できなければ損することになります。

 節税対策は重要ですが、完璧な節税対策は残念ながらありません。

 必ずリスクはあります。節税対策のみでなく、現状をしっかり把握し、納税資金の確保も含め、総合的に考えましょう。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】

より明るい未来のために ~確かな経営計画を~

「人はなぜ月へ行けたのか」
 皆さまは、こう問われるとどのようにお答えしますか。私も、10年程前のあるセミナーに参加していた時、同じ問いを受けました。「うーん、技術が進歩して・・・・・」

 周知のとおり、人類が月へ初めて着陸したのは、1969年、アメリカのアポロ11号です。事実、月への着陸の成功に技術の進歩があったのは当然のことです。しかし、ここでの答えは(10年程前に私が参加したセミナーの講師の答えは)「月へ行こうと思ったから」
会場は、「えっ」といった雰囲気に包まれました。

 要するに、何かを行う場合、まず第一に、それを行おうとする人が「やろうと思うこと」が大切であるということです。反対に言えば、他人からの「やらされ」の気持ちでは事は成せないということでしょう。

 ところで、皆さまは、「経営計画」をご存じでしょうか。書いて字の如く、経営の計画を立てることです。銀行で融資を申し込む際に作成が求められることが良くあります。実際に、経営計画を作成していても、その多くが、融資を目的としているのではないでしょうか。

 しかし、経営計画とは、本来、経営者の方が、それぞれの夢を実現するために作成するものと私は考えます。具体的には以下のようなプロセスになります。

1、自分自身の夢、目標を明確にする。そして、「やろう」と思う。それを形にする。(理念、ビジョン)
2、その夢と現実には当然にしてギャップがある。まずは現状をしっかり把握し、ギャップをしっかり認識する。
3、1,2について、「数値」に落しこむ。
4、ギャップを埋めるためには、どのようなことをすべきかを計画し、その結果を数値で追い、さらにギャップを確認する。

 といいましても、いきなり上記すべてを行おうとしても難しいのは事実です。 
そこで、まず、「現状把握」をしっかり行うことからはじめてはいかがでしょうか。「現状把握」とは「決算」のことです。

 毎年、税務申告がありますので、皆さまも決算は組んでいます。しかし、もう一歩進んで、経営の状況がどうなっているかを判断する材料として決算を活用してほしいのです。
 毎日現場に追われ、「そんな暇あるか」との声が聞こえてきそうです。

 しかし、そのような状況だからこそ、会社の「より明るい未来」のために、立ち止まり、経営計画や決算について再度、考えてみてはいかがでしょうか。

【税理士法人ティグレパートナーズ東京 中村 哲平】