実施迫る《時間外労働の上限規制》~対応策は進んでいますか?~

2019年02月23日

◆働き方改革関連法の本丸がスタート

「働き方改革関連法」に関する様々なニュースを耳にし、皆様ご自身の経営や実務にあてはめて考えられておられるかと思います。そしてついに、この4月から働き方改革の本丸とされる「長時間労働の是正」が始まることになります。
残業時間上限規制が法令化された背景には、深刻な問題となっている過労死・長時間労働があります。そしてその是正は、政府が推進する「一億総活躍社会」の実現にむけた考えに基づいているものです。

 これについて厚生労働省は、「長時間労働は、健康の確保だけでなく仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。『過労死等ゼロ』を実現するとともに、マンアワー当たりの生産性を上げつつ、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者が働きやすい社会に変えていくため、長時間労働の是正は喫緊の課題である」と述べています。


◆2019年4月(中小企業は2020年4月)より、時間外労働の上限が法律で規定されます

 労働基準法においては、労働時間は1週40時間以内かつ1日8時間以内と定められています。従業員に時間外労働を行わせるためには、36協定の締結、労働基準監督署への届出が必要となり、36協定を締結せずに時間外労働をさせたり、協定で定めた時間を超えて労働させたりすることはできません。
 ちなみに、36協定とは「時間外・休日労働に関する協定届」のことです。労働基準法第36条が根拠になっているので、このように呼ばれています。

これまでも時間外労働の上限は、「告示」により、月45時間、年360時間とされていましたが、罰則がないことから強制力もありませんでした。
 また、臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合は、特別条項を設けることで年6ヵ月までは「実質上限なく」時間外労働を行わせることが可能となっていました。
こうした内容が、今回の法改正で変わるというわけです。


◆時間外労働の上限規定で何が変わる?

■ 告示での取り決めから「法律」になります
 月45時間、年360時間の上限が「告示によるもの(行政指導)」から法律による上限に変わります。
 つまり、今までなかった《罰則が科される可能性も出てくる》ことで、時間外労働を抑制する強制力ができることです。

■ 特別条項の場合にも上限が設置されます
上述のとおり、今までは臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合は、特別条項を設け、年6ヵ月まで上限なく時間外労働を行わせることも可能でした。これに対しても上限規制が儲けられることになりました。内容は以下のとおりで、
・年720時間
・複数月平均80時間(※1)
・月100時間(休日労働含む)
を超えることができなくなる
のです。
(※1)月の時間外労働と休日労働の合計が、どの2~6ヵ月の平均を取っても、1ヵ月あたり80時間を超えないこと。


◆コンプライアンスのために適切な管理を

この上限規制への対応として、企業は規制に対応した36協定を締結し、届出を行うのはもちろんのことです。

■ 忘れてはならない管理義務
 そしてさらに、企業はこの内容を順守するために、個々の従業員の労働時間の管理(※2)も求められています。ここでは、「全ての労働者」を対象であることにも留意が必要です。
(※2)労働時間の把握についても、2019年4月より管理監督者等も含めた労働者の労働時間の状況を客観的な方法(タイムカード、ICカード、パソコンのログ等)、その他適切な方法で把握するよう「法律で義務付け」られます。

これについて、厚労省では「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

企業が行うべき実務的なガイドラインとなりますから、ご一読されておくのがよいでしょう。


◆中小企業もあと1年で規制の対象です

過剰な時間外労働を強いることで業務を進めてきた企業については当然ですが、そうではない企業にとっても、あと1年で中小企業でも規制が始まるというこのタイミングで、働き方を変えていくための対応を進めるのがお勧めです。

そこでポイントとなるのは、従業員の現状の時間外労働時間を把握することです。そうして残業を引き起こす問題点を洗い出し、改善していく長期的な取り組みを始めていくのが、重要なんですね。

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